【読書まとめ】「無知」の技法
- 作者: スティーブンデスーザ,ダイアナレナー,上原裕美子
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2015/11/19
- メディア: 単行本
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内容としては、「無知を自覚し行動することは辛いが、無知の状態を尊重し、常に新しい事を学んでいこう」みたいな内容だったと思います。タイトルに「技法」と書いてある割に、冒頭で「本書はハハウツーガイドではない。よってはっきりした答えも提示しない。」と言い切っており、若干モヤっとする内容となっています。
以下、いくつか印象に残ったセンテンスを抜粋。
「私たちは神経学的に、予測のつかないものを避け、確実なものを好むようにできている」
明快な表現や断定というのは本当に気持ちがいいもので、聞く側にとっても疑念を抱かずにそのまま吸収できます。技術者やアカデミアの人は「〜の可能性が高い」「〜の懸念がある」などと、正確に情報を伝えがちですが、分野違いの人からは不安感を感じる原因にもなりかねません。私もよく上長から「発表は全て断定でしなさい」と指摘を受けましたが、TPOによって使い分けをしなくてはいけないことを学びました。
書籍においてはこのセンテンスで、逆に不確実なものに対応する事を推奨する際に、一定の心理的負荷が避けられない事を説明しています。
「自信過剰だった学生ほど、交友関係の中で高いステイタスを獲得」
経験上、自信が溢れている人はそれだけで信頼感を感じますが、実力とのギャップがでかいほど失望も大きくなり残念な思いをしたことがあります。一方で謙虚さは美徳であると言われていますが、実力がある人が謙虚に振る舞っていると尊敬が生まれますが、程度によっては疑念や信頼感の低下などを招きかねないと思います。私としては、謙虚と自信は競合しないものと考えており、自信と安定感を見せつつ、常に学習者としての姿勢を大事にしていくことでこれを実現したいと考えています。
「人は新しいスキル獲得に努力をするよりも、すでに得たスキルの継続的向上を望む傾向がある」
お年を召した方々とコミュニケーションを取っていると、いつの間にか議論がすり替えられて年配者が得意とする分野の話が延々とされる、といった経験をすることがよくあります。よく詭弁のアプローチとして用いられている気がしますが、要は自分の無知を晒したくないため、無理やり自分の得意な領域に引き込んで、論破しているわけです。 この論法をされた方はたまったものではありませんが、年配者に一定の理解をすることもできます。年をとるにつれ記憶力は低下し、新しい事を学ぶことが億劫になってくると、自分の手持ちの知識・技術だけでなんとかしてしまいたくなる、ということだと思いますし、事実そういった方々は以前の職場にたくさんいらっしゃいました。 書籍の主張の通り、これから年をとるにつれて自分の無知と記憶力低下に向き合いつつ、恐れず常に学びを続ける事を心がけていきたいですね。
終わり(20分)